2020.05.01

愛を知る牛:かづの牛② かづの牛の気持ちがわかる牛飼いの話。

 秋田県畜産農業協同組合鹿角支所の佐藤実幸さん。畜協のみつゆきさん。鹿角において、かづの牛の生産の取りまとめ役を担っている。
「牛を飼ったのは、ひいじいさまのときからなので、4代目。その頃は短角牛の他に馬も飼っていました。見てもらった馬見平の牧野というのはもともとは馬の放牧地です。じいさまたちは農業をやって、馬を飼って、馬が農耕用に使われていて。牛は繁殖用で子牛を売るために育てていました。夏場に馬を使わない時に放牧しておいて、牛たちも一緒に放牧をしていたという形です。農業もする、牛も飼う、猟師もする。山の中の集落だから、そういうことでやってきたんです」。
実幸さんは昭和53年生まれの41歳。生まれたときから牛が一緒にいる環境で育った。
「幼稚園のときの卒園文集を見たら、そこにも牛飼いになる、って書いてました(笑)。もう、牛をやるもんだと思ってたんでしょうね。中学校を卒業して、畜産の高校に進み、畜産の短大に進み。何の疑いもなかった。グレる間なんてなかったですよ。昔から牛が家にいるからこそ、家が成り立っているという気持ちだったし、牛はなければならないし」。
牛は、家業だった。当たり前。だからやる。
「牛はかわいいなと思うところはあるけれども、小学5年か6年の時に、調子の悪かった牛を屠場に連れて行って潰すのを見に行ったことがあって。ドンと打たれるのを見て、命が失われるのはなー、とは思ったんだけど、最終的にはうちの家のために死んでいってくれた。だからこそ命を大切にするっていうのは、お肉としての次の使い方を大事にするってことだと思った。この牛たちにありがとうと思って、その日の夜はサガリの肉は全部持って帰って、焼き肉をして食べました」。
畜協に入ってからは、生産から販売まですべてを経験してきたという。だからこそ、どういう牛を育てていけばいいか、わかってきた。
「昔はどこの家にも牛がいて、そういう時代だったのが、だんだん牛がいなくなって、牛が好きですよという変わり者が出てきて、取りまとめているような形です。牛は好きですけど、動物が好きって言うわけではない。犬とか猫とか別に好きではないし」
実幸さんは現在独身。鹿角三大独身のひとりだ。「牛のことばっかりかまってないで、自分も嫁もらわねばな」と笑った。花嫁募集中だそうです(笑)。

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